京の路地から From Kyoto with Love

Why don't you visit Kyoto to meet something new? 京都は私の空気、水のようなもの。新しい京都、古い京都。その中で、日々綴った、現代の枕草子。

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Location: 京都市, 京都府, Japan

悪戯な好奇心の猿一匹、飼っています。Keeping a curious monkey in my mind.

Oct 6, 2011

アップル落城

 スティーブ・ジョブズが死にました。凄絶な闘病後の名誉ある死でした。私が今、最も尊敬する人物でした。

 アップルが彼を追悼して流したテレビCMに、泣けてしかたがなかった。
 彼はコンピューターをー個人のものにした天才です。「マッキントッシュ」という機種には痺れた。まだDOS-Vというアホなシステムしかなくて、ファイルやアプリケーションも文字情報で探さなくてはならない時代のことです。アイコンをクリックしてファイルやアプリケーションが立ち上がり、マウスを使って命令する、今では当たり前のそんなGUIはアップルの功績です。アップルをそっくり真似て、MSのWindowsという怪しいソフトが登場するのはずっと後のことです。マッキントッシュはマウスでお絵かきができたり、一瞬で虜になる器械だった。

 私が初めて買ったアップルのノートは美しいカラー画面で、フォトショップのバージョン1.0で写真のレタッチも自由自在だった。アップルの誇るクイック・タイムという動画を扱うソフトも、未だに現役です。フォトショップと並んで、イラストレーターもすごいソフトで、プロの常用ソフトになっていて、マックは学者と芸術家の器械をいうイメージを獲得していきます。軽快な起動音はマッキントッシュ以来で、起動時に立ち上がるニコニコ・マックが可愛い。そして、システムに重大な障害が生じた時に、もの悲しい音とともに表示されるサッド・マックが泣けるほど悲しかった。

 当時「98ノート」という競争機種は、まだWindowsを搭載せず、白黒でした。アップルはコンピューター本体にOSを搭載して販売する戦略をとり、OSを公開しなかったために、ソフト販売戦略のMSに大きな差を開けられてしまいました。
 ジョブズがアップルにカムバックして発売したiMacは空前の大ヒットとなり、アップルのシェアを突き上げます。あのスケルトンのデザインには、思わず買わせるインパクトがあった。買いました。今も問題なく動いています。マッキントシュもiMacも、アップルの製品の大きな特徴は、それを持っているだけでうれしい、という点です。部屋にそれがあること自体、生活が変わったというイメージで訴えかけてくる力があります。今はマックブック・プロという機種で、LeopardというOSを使用しています。発売当初から世界最高のOSという評価を得ていたOSです。アップルのソフトの中でも、ブラウザーの「Safari」は秀逸で、とにかく早い。MSのエクスプローラーはイライラするくらい遅い。またYouTubeに限らず、ネット上の動画を、他のソフトの助けなしに、ブラウザー自身の機能でダウンロードできるのが素晴らしい。今はもっと早い「Google Chrome」を使っています。Googleは「Google日本語入力」というソフトを無料で配布しており、ATOKが不要です。アップグレードもネット上で行われるので、その度に買い換える出費と煩雑さがありません。

 アップルは、その後誰もが知っているとおり、iPodでソニーのウォークマンを博物館に送り、iPhoneでそれまでのスマートフォンのNOKIAを携帯世界一位の地位から追い落としました。そして、iPadでパソコンそのものを不要にしています。ソニーやMSやNOKIA(私は今でもiPhoneの他にNOKIAを使っています)のコンセプトとは、根本的に違う。シンプルで、美しく、高機能だということです。雑多なボタンや、いかにも機械という印象を与える、余計な説明的なうるさい機能を一切排除して、とにかく生活を変えるということに徹しています。

 ジョブズなき今、アップルが現状の繁栄を維持することはもはや不可能でしょう。ずっと生活に夢を与え続けてくれたスティーブ・ジョブズの死は、悲しいとか寂しい以上の出来事です。

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