京の路地から From Kyoto with Love

Why don't you visit Kyoto to meet something new? 京都は私の空気、水のようなもの。新しい京都、古い京都。その中で、日々綴った、現代の枕草子。

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Location: 京都市, 京都府, Japan

悪戯な好奇心の猿一匹、飼っています。Keeping a curious monkey in my mind.

Aug 24, 2009

夢の中へ

 1977年の9月10日に井上陽水が大麻使用で逮捕され、懲役8ヵ月、執行猶予2年の判決を受けたことがありました。当時の陽水のヒット曲「夢の中へ」の歌詞が微妙です。

 探し物は何ですか。
 見つけにくいものですか。
 鞄の中も、机の中も探したけれど見つからないのに。
 まだまだ探す気ですか。
 それより僕と踊りませんか。
 夢の中へ、夢の中へ行ってみたいと思いませんか。

 捜索を受けて、尚、「夢の中へ」と誘う陽水が素晴らしい。のりピーと覚醒剤のとちらが悪いか、と職場で話題になりました。結論は覚醒剤の方が悪い。のりピーは悪くない、ということに落ち着きました。

 八方塞がりの現実から逃避して、自分だけの「夢の中」で暮らせたら、どんなに幸せでしょうか。一度ならず、誰もが、自分なりの理想を思い描いて、ため息をついたことがあると思います。

 繰り返される「振り込め詐欺」の被害も、同じ根を持っているように思えてなりません。「ウソかも知れない」「ウソに違いない」と判断する自分よ りも、もっと大きな自分が、心を曇らせます。「いい母親になりたい」「自分の力で、息子を救いたい」心の中は、息子への「愛」と「息子を守るやさしい自 分」の物語しかなくなっています。「夢の中」では、自分が主人公です。そして自分の思い描いた物語を生きることができるのです。誰でも、よくないとわかっ ても、そうしたい気持ちに負けることは、よくよくあることです。「あるべき」自分と。「ありたい」自分は、時に拮抗します。

 ひとときのお姫様気分を充たすために、徒な恋に身をやつすことも、生きていく上では、必要なステップなのかもしれません。幸せになれないことは わかっているのに、抑えきれない衝動に身を任せてしまう愚を、どれだけ繰り返せば、大人になれるのでしょうか。心の中に「夢」が芽生えたときに、その夢に ふさわしい自分になるプログラムを、同時に思い描く人が、やがて「夢」を実現します。「夢」を現実に変えることができるのは、誰でもない、自分だけです。 「夢」が「夢」で終わるなら、「現実」は「ありたい」自分には届くことはありません。「ありうる」自分に妥協を重ねて、粛々と生きてゆくだけです。

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