京の路地から From Kyoto with Love

Why don't you visit Kyoto to meet something new? 京都は私の空気、水のようなもの。新しい京都、古い京都。その中で、日々綴った、現代の枕草子。

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Location: 京都市, 京都府, Japan

悪戯な好奇心の猿一匹、飼っています。Keeping a curious monkey in my mind.

Sep 3, 2009

ちょっといい話

 7月29日の朝日新聞、天声人語からの受け売りです。

 「ヨーロッパ食堂旅行」という本に出てくるお話しです。原文のまま引用します。パリのサンジェルマンにある「オ・シャルパンティエ」というレストランのお話しです。

 海外からやってきたお客さんにはたくさんの思い出があります。たとえば、もう30年以上も前のことになりますが、若いアメリカ人のカップルが隅 のテーブルで食事をしていました。17フランのディナーだった。うちではいちばん安い定食でした。そのころ、うちではテーブルクロスに紙を使っていまして ね、勘定も紙の上に鉛筆で書いていたんです。
 ふたりが帰った後、ギャルソンが片づけに行ったら、クロスの裏に短い手紙が書いてありました。
「新婚旅行でパリに来ました。ここの食事は私たちが食べたなかでいちばんおいしかった」
 いや、嬉しかったな。私はその部分を切り取ってアルバムに挟んでいた。

 いいお話です。ほろりと来ました。このお話には、続きがあります。

 数年前のことです。アメリカ人の4人家族がやって来て、シャトーブリアンを食べ、シャンパンを何本も空けた。支払いのとき、私を呼んで、新婚旅 行でやって来たことがあるという・・・。新婚旅行で食事に来たときは確かあそこに座った、と隅のテーブルを指さしたのです。そのとき、私はふと思いまし た。もしかしたら、と。妻にアルバムをもってこさせました。そして、メモを見せた。ふたりは涙ぐんでいました。
 いいですか、言葉がしゃべれないなんて問題じゃないんですよ。私たちはどこから来た人でもおろそかにするつもりはありません・・・

  「ヨーロッパ食堂旅行」野地秩嘉 ダイヤモンド社 p19

 若いときは、とにかくお金がない。でも新婚旅行くらいは奮発して、パリに行くのもいい。それでも、費用はかつかつです。有名なレストランで、一 番安い定食を頼むのが精一杯の贅沢かも知れません。普段でもそうです。安いからと、その辺の居酒屋で、彼女と出かけて、誰が料理したかも知れない、得体の 知れない冷凍食材にお金を払うなんて、できない男が、いい男だと思いますが。一番安い定食でもいいですよね。好きなあいつと食べるなら、割り勘でもいいで すよね。
 そいつの考えていることに、心から共感できる、そんな後ろ姿の男を、追いかける女が、いい女だと思います。その男はきっと成功して、あなたにシャトーブリアンをご馳走する力を秘めています。将来きっとあなたを幸せにします。
 ところで、「シャトーブリアン」って何でしょうか?

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