京の路地から From Kyoto with Love

Why don't you visit Kyoto to meet something new? 京都は私の空気、水のようなもの。新しい京都、古い京都。その中で、日々綴った、現代の枕草子。

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Location: 京都市, 京都府, Japan

悪戯な好奇心の猿一匹、飼っています。Keeping a curious monkey in my mind.

Dec 20, 2011

シルクロード:愚昧なNHK

「シルクロード」という言葉に、大抵の日本人はどこかロマンチックな旅情をそそられるのは何故でしょうか? 何となくエキゾチックな憧れが、胸にわき起こるのを、禁ずることのできない人も多いことと思います。私たちの思いこみの強さは、どうしようもなく、歴史の歪曲とユーラシア諸「民族」への蔑視に基づいています。日本人の歴史意識の浅薄さをみごとに示すこの偏見は、大いにNHKによる偏った「シルクロード」意識によるものだと思います。先頃「歴女」とかいう言葉が流行ったようですが、これも本当を言えば、単に偏見にまみれたテレビなどの歴史ものを囓っただけの人々の称でしかありません。

 いやしくも歴史興味があると言いたいのなら、少なくとも、世界三大歴史書と言われる、「歴史」(ヘロドトス)、「史記」(司馬遷)、「ペロポネソス戦争の歴史」(トゥキュディデス)のうち、一冊でも、その一部にでも目を通して、歴史を語ることの厳しさを少しでも身につけていてほしいものだと思う。テレビや旅行会社の宣伝で囓った知識を、歴史だとは決して思わないよう心がけないと、知らないうちに西洋史観に洗脳された人族差別論者の仲間入りしてしまうことになるのが、「歴史」の恐ろしさです。八世紀に中央アジアに出現したウィグル遊牧帝国のウィグルと、現在所謂シルクロードに居住するウィグルとが同じものを指していないことくらい知っていないと、民族無知と言われてもしかたがない、ということすら実はわからない人たちが、「シルクロード」とか中国の民族問題について何かを語ることはまったくナンセンスの至りです。

 秦帝国の崩壊後、出現した匈奴の国家は400年間、東は朝鮮半島から西は天山山脈山麓にいたる広大な領土を有し、あまつさえ、当初の漢王朝はその属国でした。私たちの日本はまだ世界史的存在ではなく、倭の小国が漢に朝貢していた頃です。匈奴の領土はその後も、2000年(日本史的尺度からは気が遠くなる年月です)にわたり、モンゴルに至る各種遊牧国家により仕切られており、世界一の文化国家であった地域です。

 海を支配して、残虐の限りを尽くしてアジア、アフリカ、南米アメリカを蹂躙した西洋国家の価値観から、「シルクロード」をローマと中華との交易路とのみとらえる歴史認識は、根本的に誤っています。アジア、アフリカは後進で劣った地域であるという、無意識の歴史認識が、今の歴史教育やNHKの報道にあることは明らかです。少なくとも日本からみれば、経済、政治、文化等、どれをとっても大先輩であった国の一部である地域だろいうことです。

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