誓文払い
女性の好きなもの、と言ってはお叱りを受けそうですが、男の私もデパ地下で半額札が貼られると、別に欲しくもないのに買ってしまい、結局冷蔵庫のデッドストックになって、期限切れで捨てるはめになったことも一再ならずあります。普段が貧乏暮らしで、我慢が日常ですから、値引きとか、~%オフという広告には、敏感になってしまっているのでしょうか。ひところ今をときめく安手の衣料品店などで、おばさんが両手いっぱいに商品を抱えているのを見ると、感動を覚えたものです。
最近樋口一葉にはまっています。一葉は貧しかったため学歴はありませんでしたが、幼少からお人形などで遊ぶ女児ではなかったようです。早くに亡くなった父が教養のある御仁だったので、家にあった漢籍を片っ端から読み漁ったといいます。実際彼女の作品を読んでも、これが満足に教育を受けていない、しかも女性の文章とは信じられないくらい毅然としています。一葉記念館が所蔵する彼女の自筆文書を見ても、実に達筆で、その字に惚れてしまいます。一葉は女手で、母と妹を養っていかなければならなかったため、いつも借金地獄に喘いでいました。いやいや、喘いでいたというのは正しくないかも知れません。親戚、知り合いを問わず、とにかく借金癖で、しかも返さなかったといいますから驚きます。借金を申し込んで断られたり、一度貸すと言っておきながら途中で貸し渋ったりしたら、一葉も母も、とにかくその相手を悪し様に罵っていたようです。金があるなら、困っている者を助けるのは当然と思っていたようです。身勝手なようですが、気持ちがいい。まあ、そういう時代だったのでしょう。ある時金を貸すかわりに妾になれと言われたことがありましたが、その場できっぱりと断ったといいますから、むしろ頭が下がります。一葉はその同じ男に再度、再々度の無心をしていますから恐れ入ります。一葉は数々名作を残しましたが、報われることなく、結核のため24歳で生涯を終えてしまいました。残念です。
バーゲンですが、京都四条通り商店会が毎秋、「誓文払い」というバーゲンの元祖みたいなセールをやっています。もともとは源頼朝の手下が京にいた義経を討ち損じて、冠者殿社に、「忠義のために偽るものの罪を問わぬよう」と願をかけたのが始まりだといいます。
http://www.kyoto-shijo.or.jp/kanjaden/index.html
その後、仕事上やむなく嘘や空約束をする商人たちが、その不徳の罪を神に許してもらうために、冠者殿社にお参りするようになり、商品を安く提供するようになったのだそうです。この風習は花街や水商売の世界にも伝播して、普段から恋文だの、空約束などで、男たちを騙していることへの罪滅ぼしをするのだそうです。その際、言葉にせず、黙って祈らねばならないそうで「無言詣」と言って祇園祭の頃に、早朝などに綺麗どころが参っているのを見かけることがあります。
http://everkyoto.web.fc2.com/report82.html
デパートのバーゲンと言えば、バブルの時分など、殺しあうばかりに混み合ったものでした。でも、よく見ると、バーゲン用に準備した粗悪品ばかりであったりします。有名スーパーにお店を出しているある陶器屋さんの話では、半額セールのときは、あらかじめ商品価格を二倍に値上げしておいてから、当日半額にするのだとのことでした。道理で半額でも安くないことが多いですよね。でも、それでは「誓文払い」にはなりませんね。
農業が国の基幹産業であった当時、商業は何も生産せず、ただ利を貪るものとして、卑しい渡世だったようです。売るためには嘘のひとつも言うのは常で、その罪滅ぼしが誓文払いでした。京都の商店会の取り組みはその誓文払いの雰囲気をよく伝えていて、ついほろりと相好を崩してしまいます。
みみっちい話ですが、先に、京都の十字屋さんが、期限切れのポイントカードを、「うちでお買い物して下さっているのですから」と言って、快く使わせてくれたことを書きました。最近同じ十字屋さんで1980円のCDを買い求めたのですが、通常1000円で1ポイントですが、2ポイントつけてくれていて、ささやかに感動したことがありました。商売は常々人を騙しているのだから、という「誓文払い」の思想が、ちょっぴり匂ってくるエピソードです
http://www.jeugia.co.jp/
最近樋口一葉にはまっています。一葉は貧しかったため学歴はありませんでしたが、幼少からお人形などで遊ぶ女児ではなかったようです。早くに亡くなった父が教養のある御仁だったので、家にあった漢籍を片っ端から読み漁ったといいます。実際彼女の作品を読んでも、これが満足に教育を受けていない、しかも女性の文章とは信じられないくらい毅然としています。一葉記念館が所蔵する彼女の自筆文書を見ても、実に達筆で、その字に惚れてしまいます。一葉は女手で、母と妹を養っていかなければならなかったため、いつも借金地獄に喘いでいました。いやいや、喘いでいたというのは正しくないかも知れません。親戚、知り合いを問わず、とにかく借金癖で、しかも返さなかったといいますから驚きます。借金を申し込んで断られたり、一度貸すと言っておきながら途中で貸し渋ったりしたら、一葉も母も、とにかくその相手を悪し様に罵っていたようです。金があるなら、困っている者を助けるのは当然と思っていたようです。身勝手なようですが、気持ちがいい。まあ、そういう時代だったのでしょう。ある時金を貸すかわりに妾になれと言われたことがありましたが、その場できっぱりと断ったといいますから、むしろ頭が下がります。一葉はその同じ男に再度、再々度の無心をしていますから恐れ入ります。一葉は数々名作を残しましたが、報われることなく、結核のため24歳で生涯を終えてしまいました。残念です。
バーゲンですが、京都四条通り商店会が毎秋、「誓文払い」というバーゲンの元祖みたいなセールをやっています。もともとは源頼朝の手下が京にいた義経を討ち損じて、冠者殿社に、「忠義のために偽るものの罪を問わぬよう」と願をかけたのが始まりだといいます。
http://www.kyoto-shijo.or.jp/kanjaden/index.html
その後、仕事上やむなく嘘や空約束をする商人たちが、その不徳の罪を神に許してもらうために、冠者殿社にお参りするようになり、商品を安く提供するようになったのだそうです。この風習は花街や水商売の世界にも伝播して、普段から恋文だの、空約束などで、男たちを騙していることへの罪滅ぼしをするのだそうです。その際、言葉にせず、黙って祈らねばならないそうで「無言詣」と言って祇園祭の頃に、早朝などに綺麗どころが参っているのを見かけることがあります。
http://everkyoto.web.fc2.com/report82.html
デパートのバーゲンと言えば、バブルの時分など、殺しあうばかりに混み合ったものでした。でも、よく見ると、バーゲン用に準備した粗悪品ばかりであったりします。有名スーパーにお店を出しているある陶器屋さんの話では、半額セールのときは、あらかじめ商品価格を二倍に値上げしておいてから、当日半額にするのだとのことでした。道理で半額でも安くないことが多いですよね。でも、それでは「誓文払い」にはなりませんね。
農業が国の基幹産業であった当時、商業は何も生産せず、ただ利を貪るものとして、卑しい渡世だったようです。売るためには嘘のひとつも言うのは常で、その罪滅ぼしが誓文払いでした。京都の商店会の取り組みはその誓文払いの雰囲気をよく伝えていて、ついほろりと相好を崩してしまいます。
みみっちい話ですが、先に、京都の十字屋さんが、期限切れのポイントカードを、「うちでお買い物して下さっているのですから」と言って、快く使わせてくれたことを書きました。最近同じ十字屋さんで1980円のCDを買い求めたのですが、通常1000円で1ポイントですが、2ポイントつけてくれていて、ささやかに感動したことがありました。商売は常々人を騙しているのだから、という「誓文払い」の思想が、ちょっぴり匂ってくるエピソードです
http://www.jeugia.co.jp/
Labels: バーゲン 誓文払い 祇園祭 冠者殿社 デパート 商人 花街
0 Comments:
Post a Comment
Subscribe to Post Comments [Atom]
<< Home