京の路地から From Kyoto with Love

Why don't you visit Kyoto to meet something new? 京都は私の空気、水のようなもの。新しい京都、古い京都。その中で、日々綴った、現代の枕草子。

Name:
Location: 京都市, 京都府, Japan

悪戯な好奇心の猿一匹、飼っています。Keeping a curious monkey in my mind.

Nov 2, 2010

女をみたら・・

  6回目の妊娠ということで、外来にみえた患者さん。もう子供は要らないからと、中絶を考えているということでした。医者としてはお勧めしたくない選択肢 ですが、今後の夫婦の苦労を考えるとやむを得ないかとちょい憂鬱でした。ところが、診察してみると双胎(双子)です。患者さんの夫の一言に泣けた。「双子 やったら産め」と。二人産むと7人の子持ちになりますよと言っても、「5人も7人もいっしょや」と気風がいい。好きだなあ、こんな男。付き合っていて、妊 娠したと言っただけで顔を曇らせるケチな男に聞かせてやりたい。「双子やったら産め」と言われて、一番うれしかったのは、多分その妊婦さんだったと思う。 この男に添ってよかった、と心から思える幸せな瞬間だったのではないでしょうか。産科医冥利につきるひとときをありがとう、と胸に呟いた瞬間でした。

 「できちゃったみたい」と言って、男を試してみるのも、いいかもね。
http://ameblo.jp/kongairenai-world/entry-10007347842.html


 暮れに出産して7ヶ月の赤ちゃんに授乳しているお母さんが外来に来ました。お腹が張るという訴えです。どうせ便秘か何かだろうと、「それ産科 じゃなくて、消化器科がいいんじゃないの」と言いながら、せっかくみえたのだから、一応型どおりの診察をしてみると、なんと!妊娠でした。それももう5ヶ 月で、結構大きな胎児がいます。医者も患者もびっくり。気になったのですが、患者さんが「うれしい」と呟くのを聞いて、ホロリときた。「同時には無理だか ら、この子は堕ろす」と言われるのが心底怖かった。産科医の微妙な心の機微が、人知れず蠢く診察室の情景です。この気持ちは誰にもわからないい。

 47歳のご婦人が不正性器出血で来院されました。前医で子宮腫瘍と診断されています。MRI等一応の検査で、やはり子宮腫瘍で、悪性疾患かも知 れないと外来担当医に診断され、手術の予定になりました。ところが手術の日を待たず、大量出血があって私の外来にみえたのです。これは本当に癌かも知れな いと思って診察してみると、何と「胞状奇胎」でした。そもそもこの患者さんは妊娠していたです。年齢から、妊娠を疑わず検査をしていたため、妊娠に関係し た病気の診断に至らなかったのでした。最初に出血で受診したとき、これが20歳代の患者さんならば、その診断名に「流産」の可能性を考えて、妊娠検査をし たはずです。そのとき、胞状奇胎ならばその検査値が異常に高くなるので、それだけで正しい診断ができていたはずでした。どれだけ経験のある医師でも、妊娠 を見逃すことがあるのです。
http://www.byoki-syojyo.net/body/Woman-36.html

 「女をみたら妊娠を疑え」 これは産婦人科医の座右の銘です。

Labels:

0 Comments:

Post a Comment

Subscribe to Post Comments [Atom]

<< Home