京の路地から From Kyoto with Love

Why don't you visit Kyoto to meet something new? 京都は私の空気、水のようなもの。新しい京都、古い京都。その中で、日々綴った、現代の枕草子。

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Location: 京都市, 京都府, Japan

悪戯な好奇心の猿一匹、飼っています。Keeping a curious monkey in my mind.

Feb 19, 2010

陣痛促進剤

 産んでほしいのに、陣痛が発来しない妊婦さんに、陣痛促進剤を投与することがあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%A3%E7%97%9B%E4%BF%83%E9%80%B2%E5%89%A4

 昨日陣痛促進剤を投与して、深夜の2時に陣痛発来となり、今日のお昼過ぎに分娩になった産婦さんがいました。陣痛促進剤の投与は昨夕6時までだったので、結局自然陣痛が発来したことになります。
 そもそもその患者さんに、陣痛促進剤を投与した理由は、第一に「過期妊娠」という適応でした。先週金曜日で、妊娠40週3日で、今日の金曜の外 来まで待つと、41週3日になります。もし今日までに分娩になっていなかったら、来週は42週になってしまい、分娩予定日を大幅に超えてしまうことになり ます。来週月曜から陣痛誘発を始めたとしたら、お薬を投与しても、必ずその日に陣痛が発来して分娩になるとは限らないので、2〜3日の猶予が必要です。そ うしているうちに、胎盤機能が衰えると、経膣分娩が不可能になることも考慮に入れなくてはなりません。
 
 考えた末、昨木曜の入院ということにして、木、金と陣痛促進剤を使うことで、患者さんに納得していただいていました。ところが、木曜の早朝に破 水されて病院に来られました。破水すると、胎児に感染の危険が生じるため、「前期破水」という、もうひとつの適応が生じました。破水後、自然陣痛が発来す ることはよくあることなので、しばらく待機しましたが、その気配がなかったため、午後1時から、お薬を投与することになりました。結局木曜には有効な陣痛 は発来せず、深夜に自然陣痛発来となったわけです。

 陣痛促進剤を使って、陣痛誘発するには、医学的な必要性がなければなりません。上記の患者さんの場合は、過期妊娠と破水がその適応となっています。これもあくまで、絶対的適応ではなくて、放置した場合、患者さんと胎児に、危険が予測されるから、という理由にすぎません。
 陣痛促進剤は、多用すると、事故も発生して、胎児、新生児や産婦さんに重篤な副作用を生じることがあります。つい先日、陣痛促進剤の副作用とみ られる子宮破裂による大出血で、母胎の生命が危険にさらされて搬送されてきた例がありました。また、新生児の脳性麻痺などを発症して、裁判になった例も数 多くあります。
http://homepage1.nifty.com/hkr/higai/

 上記の子宮破裂の症例の妊婦さんは、その日に分娩したいからという理由で、自分から主治医に頼んで陣痛誘発をした結果でした。分娩は時間を選び ませんから、予定がたたず、夜間も休日も医師は休めません。そこで、明るいうちに分娩になるように、とか、土日を避けて分娩にするためにとか、医師側の都 合で、投与されることも多かったのです。開業医も365日、24時間働け、というのは確かに酷な要求で、自分の健康と生活を守るために、やむを得ない場合 も多かったことと思います。

 事故のニュースなどに接すると、陣痛促進剤を使うことが怖いように思われる妊婦さんもおれれるのですが、実際には、正しく用いれば、決して怖い お薬ではありません。事故が起こるのは、大抵はお薬の過剰投与による過強陣痛によるものです。この過強陣痛を予防するためには、陣痛のモニターをフルモニ ターで装着して、監視を続けることが必須です。モニターを装着しただけで、その監視を怠ると、危険の発生を予知できません。それと、当の妊婦さんに、陣痛 がどういうもので、どういう場合に危険なのかを、正しく指導しておかねばなりません。
http://www.bunben.net/~kog/041023-yamamoto.htm

 外来通院中、または陣痛が発来したり、破水したりして入院中に、なかなか分娩に至らず、医師から陣痛誘発が提案されたとき、ただ一方的にそれを 了承してはいけません。必ず、それが本当に必要な処置なのか、適切な治療なのか、また、自然に待機する道は残されていないのかを、よく医師に相談する必要 があります。早く産んで、楽になりたい一心で、重要な決断を誤らないことは患者として、母になる人として、とても重要なことです。そして、あなたがあくま で自然の分娩にこだわるのならば、薬の使用を拒否したり、分娩する病院を変わることも可能です。

 陣痛が辛いからという理由で、帝王切開分娩を希望する患者さんがおられます。帝王切開は麻酔下に胎児を取り出すので、分娩の痛みを経験しないで すみます。が、帝王切開は開腹手術ですから、それなりの危険を伴います。母体にはごく希ですが、死の危険が伴うし、新生児にも経膣分娩にはない危険が伴い ます。先頃、帝王切開で分娩した新生児が無呼吸発作を発症して、治療にもかかわらず新生児死亡に至った症例がありました。私の勤めている病院では、小児科 で、帝王切開により出生した新生児を、ハイリスク新生児として経過を診ています。

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