京の路地から From Kyoto with Love

Why don't you visit Kyoto to meet something new? 京都は私の空気、水のようなもの。新しい京都、古い京都。その中で、日々綴った、現代の枕草子。

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Location: 京都市, 京都府, Japan

悪戯な好奇心の猿一匹、飼っています。Keeping a curious monkey in my mind.

Oct 19, 2009

新宿駅東口 ベルク

行ったことのないお店です。カフェと呼んでいいのでしょうか? 新宿駅東口すぐのベルク(03-3226-1288)というお店に興味があります。近いうちに是非一度行って、「喫茶店はコーヒー」という、店主こだわりのコーヒーを飲んでみたいと思っています。
http://r.gnavi.co.jp/g030072/
http://www.berg.jp/

 最近オーナーの著書を本屋で偶然見つけて、一気に読み下しました。45席(立ち席あり)で、メニューはコーヒーが210円、ホットドッグが304円その他。朝からビールやワイン、純米酒も飲めます。新宿駅という場所柄もあるとは言え、1日30万円を売り上げるといいますから、すごい人気です。著書ではお店の苦労話が、お店の恥も隠すことなく綴られていて、村上春樹の本よりも数倍面白かった。最近読んだユニクロと王将の経営者の話に通じるものがあって、この不景気を乗り切ってゆく逞しいビジネスマンの心意気に感動しました。

 コーヒーもさること、食についても、王将と同じ、キャベツはまるごと料理するという発想は秀逸です。セントラル・キッチンによる配送などのカット野菜は切り口の変色を防止するために、ある薬品に漬けるのだそうです。コンビニのサラダの野菜の色も、調理して時間が経っている割に妙に綺麗ですよね。ベルクはソーセージもお知り合いのお肉やさんとの共同開発で、他の食材同様、防腐剤、着色料、化学調味料等を使わないということです。

 さらに一番感動したのは、接客のマナーです。店内に持ち込んで飲食されるお客さんを見つけたとき、または、4人掛けを利用する一人のお客さんをどうするか、といった飲食店には共通の問題に対するお店の考えを書いておられて、これには「すごい」と頭が下がりました。先にも紹介しましたが、京都寺町のお好み焼き屋さんの「とんとん」や「熊野神社」に近いJazz喫茶の「YAMATOYA」さんは一人で入ったのを見るや、開口一番、「カウンターへどうぞ」でお迎えです。まず「いらっしゃい」じゃあないの?と問いたい対応です。ドトール珈琲店の河原町店では、お掃除用のコンセントを失敬してパソコンに利用していたところ、お店の店長とおぼしき女性が駆け寄ってきて、止めるように諭されました。これ、お店としては当然のことですけどね。でも、それ以後、ドトールと名の付くお店には二度と行っていません。

 「お持ち込み」に関して、ベルクの対応は次のようです。
 席までお店のカップを持って行って、他のお客さんに聞こえないように、そのカップに移して飲んでもらうようお願いするのだそうです。そして、「一応たてまえ上、お持ち込みはお断りしている」旨申し添えるのだそうです。
 禁止していることをしているから、それを注意する、というのが普通の考え方で、大抵のお店では、そう言って止めさせることにするのだと思います。注意されたお客の方も、言われて当たり前、と思うでしょう。
 このベルクの考え方と、対応には深く考えさせられました。

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Oct 15, 2009

宮川町歌舞練場

 宮川町は京都の五花街の一で、祇園の南に位置しています。町並みは歴史的景観保全修景地区に指定されていて、往年の花街の雰囲気を。京都でも最もよく残していて、黄昏時のお散歩にはもってこいのロケーションです。
http://www.eonet.ne.jp/~miyagawacho/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E5%B7%9D%E7%94%BA

 その宮川町で秋の舞台である「みずゑ會」を見てきました。舞台はさておき、ここでのハプニングをご披露しますので、未熟者と笑って下さい。
http://www.eonet.ne.jp/~miyagawacho/event.html
 その「みずゑ會」で「荒れねずみ」の演目が久しぶりに挙げられているのを知って、チケットを申し込もうと思って、まず高島屋のチケット・セン ターへ行ったのですが、取り扱いがないということで、仕方なく宮川町歌舞練場へ直接電話で問い合わせると、同歌舞練場へ来て下さいというお返事でした。そ こで、同日、18時に出向いて無事11日の席の予約を済ませました。話はここからです。

 10月11日の当日朝、予約して買い求めたチケットを紛失していることに気付きます。何度もありそうなところを捜すのですが、こんな時は失せ物 は出てこないのが常です。仕方なく、歌舞練場へ電話して、その旨申し出ると、チケットを無くしたのなら、当日の自由席でも買って入ってもらうしかない、と いう当然のお返事です。当然ですよね。もうダメだと諦めたところへ、折り返し歌舞練場からの電話でした。それは、最初にチケットを買い求める際に電話を受 けて下さった島田さんという方からで、私がチケットを予約したことを知っていて、しかもその席番を控えてあるから、そのまま入場してかまわない、とのこと でした。観覧のチケットを無くしたときに、それを売った人が買った人の名前まで覚えていてくれて、しかもその席番までメモしてくれてある、なんてことがあ るのか!と感激しました。会場では彼が出迎えてくれて、現場のスタッフに事情を説明しながら席まで案内してくれました。そして無事観覧を終えて、会場を出 たあと、泣きっ面に蜂です、今度は会場に傘を置き忘れたことに気付きました。すぐに電話したのですが、もう閉まっていて、火曜日に再度電話してくれとのお 返事です。ところが、その火曜日に、またその島田さんから電話で、11日に傘をお忘れではありませんでしたか、という問い合わせでした。
 こんなに驚いたことはありません。特に京都という土地は、しかも花街では、一見のお客には冷たいものと、一般的に考えていたのですが、なかなかどうして、見も知らぬ始めてのお客とは思えぬ扱いに、感謝の気持ちが抑えられません。

 舞台は舞妓・芸妓の華やかなパフォーマンスでしたが、とくに三弦(三味線)が秀逸で、心を打ちました。宮川町の歌舞練場は狭いので、後ろの席か らでも舞台が近く、楽器の演奏は目の前でしているようです。宮川町はそれと、舞妓の数が多いとのことで、舞台はことのほか華やかです。

 せっかくですから宮川町に近いお料理屋さんを一軒紹介しておきます。最近ミシュランの二ツ星に輝いたばかりですから、ご存知の方も多いかと思い ますが、割烹「祇園ささ木」(075-551-5000)というお店です。お昼なら5500円で召し上がれますから、手の出ないお店ではないと思います。 予約のとれないお店と言われるくらいですから、予約は必須です。
http://kozukataihei.blog84.fc2.com/blog-entry-503.html

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Oct 14, 2009

要庵西富屋

京都市の旅館、要庵西富屋さん(075-211-2411)がミシュランの二つ星を獲得されました。お料理屋さんではなくて、お料理もすぐれた旅館としてですから、最高位と考えていいと思います。余談ですが、始めてお邪魔したときに、ロビーに飾ってあった百人一首のフィギュアに目を奪われました。限定品だそうで、買ったときは車一台が優に買える価格だったそうです。
http://www.kanamean.co.jp/
http://www.flickr.com/photos/7294954@N02/3936942939/

 今朝京都新聞でそのことを知って、電話をさしあげるとご主人が出られました。ご主人のお言葉では、ミシュランの星よりも息子さんが大学の建築学科に受かったことの方がうれしいとのことでした。女将さんも仰っていたそうですが、やはり、ミシュランの評価よりも毎日のお客さんの満足の方が大切だとのことでした。
 そして、面白いことを仰っていました。京都の旅館業界では、御三家とも呼ばれる同業者があり、その評価は不動だけれど、ミシュランのように外の団体による評価がうれしかった、ということでした。

 京都はある意味で閉鎖社会です。業界では、自ずと序列が定まっていて、その間では身動きできない状況なのでしょう。ミシュランはその閉鎖社会に一陣の新風を吹き込みました。ミシュランによって、要庵西富屋は、一軒の旅館として、同業者に気遣う事のない、独立した世界の評価を受けたのです。

 要庵西富屋さんが、ミシュランの評価を受けて、私は本当にうれしかった。すぐにお電話を差し上げずにはいられなかった。是非、機会があれば利用してあげて欲しい一軒です。お食事だけでも快く引き受けて下さって、料金も京都の料亭の常識を破る、¥12000から、という信じられないお手軽さですが、内容には文句のつけようもないすばらしさです。お食事中でも、質問すると、仲居さんが一品一品丁寧に説明して下さって、食材の産地までちゃんと教えてくれます。並のお店だと、パートの店員が、ちょっと聞いて参ります、と言って待たされるのがオチなのですが、そこが違います。

 食事をする、ということは、人によってその意味が大分違うと思いますが、誰と、どんなお料理屋さんでで、誰が、どう料理したものを、どんな風に食べるのか、という行為であり、そこに文化をさえ感じる行為だと思います。普段は王将で餃子を食べていても、大切な人との食事には、少し気を遣うこともいいのではないでしょうか。

 夕食に寺町四条にある「ミスターヤングメン」(075-255-4591)へ立ち寄って、いつもの豚玉¥630を頼みました。お店のヒトに、ミシュランは来ませんでしたか? と尋ねると、笑って、いえきませんでした、と言っていました。私が審査員になったら是非星をあげたいお店です。気楽で、安くて、そしておいしいです。
http://www.kyoto-teramachi.or.jp/shop/w094/index.html

 お好み焼きは大阪、という固定観念があるようですが、私は今は京都の方が上だと思っています。某有名店のアルバイトの店員がマニュアルで焼いたお好み焼きを、なんで有り難がって食べに行くのか、その気が知れません。お好み焼きは、店主が焼いてこそおいしいのだと思います。だから、支店を出した時点でそのお店とはお別れです。このお店は混雑しても相席させず、一人で4人席を利用しても苦情を言いません。
 寺町にある「とんとん」は、一人で入ると、すぐさま「カウンターへどうぞ」(熊野神社に近いジャズ喫茶「YAMATOYA」でも同じことを言われました)と言われるし、豚玉を食べたときには、豚肉を探さなければならない有様で、とても星をあげられるお店ではありませんでした。「金儲け」主義があまりに見え透いたお店は、私は好きになれません。

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Oct 3, 2009

糺の森で「おわら風の盆」

 10月3日は、中秋で、京都下鴨神社で「観月祭」が催されました。境内の橋殿で、3時間にわたって管弦が奉納され、午後8時頃にその橋殿の上に、見事な満月が現れて、観衆を嘆息させました。
http://www.flickr.com/photos/7294954@N02/3980836484/
http://www.youtube.com/watch?v=इज्ञ्त्न१ख़्रा३क

 その観月祭の奉納のひとつに、昨年から知る人ぞ知る、越中の「おわら風の盆」が演目として披露されていて大変な人気です。昨日は、すべての演目が終わった夜9時から、改めて、糺の森で「おわら風の盆」が披露されて、夜遅いにもかかわらず多くの人が見入っていました。

 伴奏は三味線と珍しい胡弓です。越中おわら節で、男踊りと女踊りですが、哀愁を帯びた笠を深く被って、顔が見えない分、女を強く感じさせる女踊りの何とも妖艶な踊りが、胡弓の音色とともに、暗闇の糺の森を練り歩く様は背筋が寒くなるほどの感動でした。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%82%8F%E3%82%89%E9%A2%A8%E3%81%AE%E7%9B%86

 おわら風の盆(おわらかぜのぼん)とは、ご存知の方も多いと思いますが、毎年9月1日から3日間、富山県富山市八尾町(旧婦負郡八尾町)で行なわれている富山県を代表する祭りだそうです。因みにその「おわら」の意味は不明なのだそうですから不思議。

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