京の路地から From Kyoto with Love

Why don't you visit Kyoto to meet something new? 京都は私の空気、水のようなもの。新しい京都、古い京都。その中で、日々綴った、現代の枕草子。

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Location: 京都市, 京都府, Japan

悪戯な好奇心の猿一匹、飼っています。Keeping a curious monkey in my mind.

May 30, 2011

気の滅入る話

 「トラウマ映画館」という本がすごい本で、気が滅入りました。ドタバタや甘っちょろい恋物語ではない、それはすごい映画ばかりを紹介していて、内容の紹介を読んでいるだけで、気分は真っ暗暗。
               「トラウマ映画館」町山智浩著、集英社http://www।geocities।jp/mezusinnou/kaie05।html

 で、その本に紹介されている有名な「エクソシスト」という映画が、実は実話に基づくものだということでびっくり。エクソシストというのは、カトリック教会の役職名で、今も現役で存在するのだそうです。悪魔払い師ですね。おなじ実話から、「聖女ヨアンナ」という映画と、もうひとつ、「肉体の悪魔」が映画化されているそうです。その実話が本になっていて、よせばいいのに、わざわざアマゾンでこれを買って読んでしまって、これがまた、精神的な苦痛でした。フランスの片田舎、ルーダンというプロテスタントの村に起こった、修道院の悪魔憑き騒動の顛末で、あるカトリックの牧師が、無実の罪で火炙りの刑に処せられるお話です。とにかく、宗教や正義に名を借りた、人間の悪行が恐ろしく、浅ましくて、胸の悪くなる本でした。時はフランスは宗教改革の嵐の吹き荒ぶ時代で、フランスは三十年戦争の真っ直中、かつ、まだ魔女裁判という悪行が幅を効かせていた頃です。そうやって、あのルイ十四世の時代が到来する、その前夜に実際にあったできごとでした。
 フランスはそうやって絶対王政を築き上げて、その矛盾からフランス革命へと歴史の歯車を進めていきます。
        「ルーダンの悪魔」オルダス・ハクスレー著、人文書院
(Aldous Leonard Huxley, 1894-1963)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%BD%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%88_%28%E6%98%A0%E7%94%BB%29

 人間が集団の狂気に捕らわれるとどうなるのかは、最近我が国にあった、アディダスの女子社員のネットでの炎上事件でも、よくわかります。あの社員は可哀想に、名前も「鼻ゴジラ」とかいわれて、世間からは完全に抹殺されています。ちょっといい大学を出て有名企業に採用されてしまったために、ちょっと可愛い顔をしていたために、それを自分のブログで、写真まで公開して自慢してしまい、結局、世間の嫉妬の悪魔に焼き殺される結果になってしまいました。
 「ルーダンの悪魔」で処刑されたグランディエ牧師も、やっぱりいい男で、頭がよく、女性にもてたために、世間の嫉妬の犠牲になったのです。そうなると、何が正しいのかや、被害者がどうすればいいのか、なんて全く理性的な考慮の余地はなくなります。我こそ正義と言わんばかりの集団の暴力の犠牲となるしか、自分ではどうしようもない、というところに追い詰められてしまうのです。
http://d.hatena.ne.jp/darksidejapan/20110520/1305896494

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May 22, 2011

渡月橋の照明

 京都嵐山の渡月橋は、日が暮れると足下を照らす照明が点灯します。あまり明るくはありませんが、足下を照らしてくれて、しかもムード満点です。その照明の電源は、渡月橋上流で、約1.7mの落差を利用した水力発電によるものだそうです。小さな水車と発電機による発電だそうで、その維持費等は、発電した余剰の電力を売ってまかなっているのだそうです。水力発電ですから、もちろんCO2は発生しません。京都ってすごいと思いました。
 
 実は京都には明治24年に完成した蹴上発電所があります。これは琵琶湖疎水を利用した、日本最初の商用発電所です。京都の市電の電力はこの発電を利用していました。
http://homepage3.nifty.com/Ogino/gijutu/keage.htm

 三条通りの西端で、地下鉄蹴上駅近くに入口があります。入口を入って順路に沿って歩くと、滔滔と流れる疎水沿いの小径があり、有名な水路閣の上に出ます。そこを下れば南禅寺境内です。
http://www.flickr.com/photos/7294954@N02/4181952278/in/set-72157600994925129
http://plaza.rakuten.co.jp/eagles4life/diary/201104110000/

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May 13, 2011

京都 kotori cafe

 わかりにくいカフェでした。一階にコムサ・デ・モードが入ったビル(ムーンビル)です。カフェの看板はありません。ビルの各階案内の5Fにkotori cafeと書いてあります。それだけです。そのつもりで行かないと、まずたどり着けません。
http://gakekotori.web.fc2.com/kotoricafe.htm
http://www.tsujimura-hisanobu.com/info/archives/kotori-cafe.html
http://www.rover-archi.com/staff_blog/index.php?mode=res_view&no=259

 印象は明るいこと、静かなことです。インテリアがサッパリしていて、広く感じます。一人で寛ぎたいときにはうってつけです。もちろん二人でも。うるさい、狭いカフェが多いので、街中のカフェとして秀逸です。
 日曜のお昼前に初めてそのビルの案内を見て入りました。2回までは、明るくない、飾り気のない階段を上がります。エレベーターで5Fに到着すると、正面にただのドアがあって、手書きで「日曜日はランチありません」と書いてありました。ドアを開けようとしたのですが、鍵がかかっていて開きません。仕方なくエレベーターで2Fへ降りて、待てよ、と思い直してもう一度5Fへ。すると、エレベーターを降りて、左へ、エレベーターの裏の方へ歩くとカフェの空間が開けます。明るい。

 日曜はランチはないと釘を刺されたので、パンありますか? と尋ねると、朝食になさいますか? と聞き返される。それでいいと答えると、朝食メニューの注文を取りに来る。
 パンはトーストかブリオッシュ、サラダと自家製スープ付き、ジュースが3種より選べる、玉子かソーセージを選ぶ、というわけで、結構豪華版です。
 食べてみると、有機野菜と自家製のパンで、美味しい。コーヒーは別で850円。コーヒーを付けると1000円です。食べ終わって出るとき、いくら請求されるかと怖かったのですが、むしろ内容の割に安いので驚いた。因みに日曜の朝ということもあって、お客は結局私一人でした。

 新しくて、アクセスの難しいお店ですが、知る人ぞ知るで、結構ブログされていて、評判がいい。無農薬野菜を使っているところは、良心的で、東大路にある美人姉妹に会える「喫茶六花」に似ています。どちらもお勧めです。
http://mmcmpny.exblog.jp/12703525/

 アクセスについて、お店のカードに書いてある長い説明を紹介しておきます。
「地下鉄東西線:京都市役所前下車 地下鉄出口10番をあがってすぐ右折(御幸町通を御池通から北へ)左(西)側 お店を三軒過ぎたところにある黒いビル(1Fコムデギャルソン)の5Fです」エントランスから2階までは階段でおあがりください」どれだけ難しいんだよ。
 営業時間は:7:30〜19:00です。電話番号は秘密だそうです。

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May 2, 2011

東京1泊2日、ミニ・グルメツアー

 久しぶりに上京しました。今回は学会とかでなく、井の頭自然文化園にいる「象のはな子」に会うだけが目的でしたから日程はゆったりでした。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%95%E3%81%AE%E9%A0%AD%E8%87%AA%E7%84%B6%E6%96%87%E5%8C%96%E5%9C%92

 はな子1947年、タイのバンコク生まれです。多分これを読んでいる誰よりも年をとっています。日本の象では最年長です。京都植物園の飼育員さんのお話では、動物園の象の寿命は30〜40年といいますから、ダントツ日本一です。今では歯が衰えて一本しかなくて、流動食で生きているそうです。いつ急変して、ということになるかも知れないので、前々から一度見ておきたいと思っていたのですが、なかなか機会がありませんでした。今回はそのために上京しました。
 それにしても、目に見えないところで、日夜苦労している飼育員さんたちのご苦労に頭が下がります。仮にはな子が30年で死んでいても、誰にも何も言われないのですから。他人からみれば、ただの自己満足かもしれません。はな子にとっての最良の環境について、研究を続ける園の関係者さんたちの苦労が、今のはな子を見てよくわかります。まだごらんになったことのない方がいたら、是非一度行ってみてはいかがでしょうか。仕事とは何か、自分が生きていることにどんな意味があるのかと、考えさせられます。金や女(男)やファッションや、以外のことに生きる目的をもっている人がたしかにいることを知るだけでも、心洗われる思いがすることでしょう。入場料は400円です。
http://www.flickr.com/photos/7294954@N02/5669438609/

 はな子に会った後は銀座へ。東京の地下鉄は節電のためにエスカレーターがのきなみ止まっていて、長い階段が辛い。それと、夜の銀座の街が暗い。震災前が明るすぎたのかも知れませんね。それと銀座の街には休日でも、外国人の姿が見られない。中国語が聞かれません。中国語なんて聞かれなくてもいいけど寂しい。彼らは明るくて、金を持っているから。

 夕食を三越裏の「みかわや」さんでいただきました。創業昭和23年ですから、はな子といい勝負をします、場所柄、高いですが、サービスもお料理も非の打ち所がない。斜に構えてハンバーグ・ステーキをいただきました。これが美味しい。普段「美味しい」という表現を、どんなときに使っていますか? テレビの無責任な料理番組は、ハンバーグと言えば、判で押したように、「肉汁が、肉汁が」とばかみたい。「みかわや」さんのハンバーグは、外がカリッと焼けていて、ナイフを入れても、肉汁は出ません。乾いた感じの食感があります。でも、肉のいやな匂いはなくて、ベチャベチャした感じがない。今まで、何を食っていたのかと、初めてハンバーグの味を知らされた気持ちです。肉の選択から、高温での調理の仕方まで、その厳しさが味と値段に滲み出ていました。多分子供さんでも、ご老人でも大丈夫です。子供に100円の焼き肉食わしてる場合じゃあないなあと思いました。
http://www.ginza-mikawaya.co.jp/

 翌日は浅草と銀座の喫茶店でした。
 浅草ではもちろんオレンジ通りにある「アンヂェラス」(03-3841-2208)です。昭和21年の開業です。コーヒー(530円)が美味しい。ケーキが豊富で美味しい。私はいつもお店の名前にもなっているアンヂェラス(320円)です。小さいロール・チョコレートケーキで、黒と白があります。どちらも美味しい。とても気楽なお店で、寛げる。外に並んでいるお客さんをよそ目に2時間たっぷり休憩してしまった。一人で4人掛けを使っても、忙しいときに長居をしてもお店は知らんふりで、余裕の接客です。月曜がお休みですから、ご用心を。
http://www.asakusa-umai.ne.jp/umai/angelus.html
http://zyunnkissa.blog85.fc2.com/blog-entry-71.html
http://www.asakusa-monjayaki.com/asa_guide/okiniiri/backnumber/04/

 銀座では「壹眞(かづま)珈琲店」が素晴らしい。第一店は東京の喫茶店の本場とも言える、神保町にありますが、銀座では並木通りと中央通りにお店があります。ブレンド・コーヒーが1300円ですから、スタバとはレベルが違います。中央通り店(03-3572-0721)へ行きました。銀座4丁目から5丁目に向かって歩くと左手にあります。店内は美しくて清潔です。店員さんが静かで、とにかく音をたてずにサービスするのが気持ちいい。というか、店員教育の厳しさを忍ばせる。余分なおしゃべりは一切しないし、店員同士が雑談をしている場面もない。
http://www.hh.e-mansion.com/~kazuma-cafe/

 東京へお出かけの祭は、是非彼女をいいお店に連れていってあげて下さい。男が上がりますよ。ものの値段は高ければいい物だ、とは言いません。しかし、高いけれども、その理由に納得できるものにお金を使いたい。一生、自分の身体に刻印されて、どこかでハンバーグを食べたときに、違いがわかる男(女)になれると思います。

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